「ORIGINES― すべてはここからはじまった」
LFJ2024では、音楽の原点に立ち返り、何世紀にもわたって、そして世界中のあらゆる国の作曲家にインス ピレーションを与えてきた音楽の伝統にスポットを当てます。
J.S.バッハは「音楽の父」と呼ばれるにふさわしい人物ですが、 彼の創造もまた悠久の時の深みと文明のるつぼに根を下ろした⻑い音楽の伝統から生まれたものです。 そして、彼以降のすべての作曲家たちは、国や大陸を問わず、古代からの遺産に基づきながら、 自分たちの言語を創りあげ、作品を生み出してきました。
特に19世紀には、中欧やスカンジナビア、大⻄洋岸で大規模なムーブメントが起こり、多くの作曲家たちが 自らのルーツに立ち返って、それぞれの国で⺠衆から生まれた歴史的な伝統を再発見し、真の趣を表現したい という欲求に駆られました。
19世紀から20世紀への転換期には、ロシア、ハンガリー、チェコスロバキア、スウェーデン、ノルウェー、 フランス、スペインで、⺠族の魂から生まれた古くからの伝統の無限の豊かさを最大限に生かそうとする
「⺠族主義」が生まれました。ビゼー、シャブリエ、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルといった作曲家たち が、スペインの伝統音楽の驚くべき豊かさに着想を得て、創造でありながらもまた真のスペイン音楽を創りだ したのです。
こうしたあらゆる作品の”ORIGINES(起源)”から現代に続く道を辿る音楽の旅に、皆様を誘います。
アーティスティック・ディレクター ルネ・マルタン